東北大学医学部 教室員会

教育問題対策部 ●東北医学雑誌に症例報告部門の設立 ●「症例報告の書き方」支援サイト ●英語論文を執筆した研修医・専攻医の先生に対する助成制度が辛酉会様のご協力で開始されます(人数限定あり)

2022/09/05(月)

教育問題対策部からのお知らせ

                                      

部長 柿坂庸介 副部長 渋谷里紗 横川 裕大 書記 星 陽介

東北医学雑誌に症例報告部門が設立されます

 教室員会は昨年度から東北医学会(会長:八重樫医学系研究科長)に対して、若手医師の研究発表の場としての東北医学雑誌における症例報告部門の必要性を訴えておりました。今年度その申請が認められ、東北医学雑誌に症例報告部門が開設されることになりました。 

 東北大学病院は毎年多くの研修医を受け入れております。しかし現状では、研修医が臨床で経験した症例から得られた貴重な知見を、日本語論文の形で発信できる場を、東北大学としては有しておりませんでした。臨床で得られた経験を論文化することは、医学界への貢献であるばかりでなく、執筆者個人にとっても大きな学びの機会になることは論を待ちません。将来、世界を舞台に活躍する第一線の臨床医や研究医になる医師も、そのキャリアの第一歩が「少数症例を扱う症例報告」を「日本語で」執筆することも少なくないと思われます。

 このような観点から、我々教室員会では昨年度から東北医学会に対して東北医学雑誌に症例報告部門を開設いただくよう申し入れを行っておりました。「査読者確保が容易ではない」等の問題を理由に、昨年度は残念ながらこの申し入れは実現いたしませんでした。一方、教室員の皆様を対象にした東北医学会における症例報告部門の必要性を伺ったアンケートからは、(同部門が臨床系においてのみニーズがあることを勘案して解釈いたしますと)多くの臨床系分野がその必要性を認めていると判断されました(詳細は、教室員会だより 27 4 P27をご参照ください)。研修医からも症例からの学びを発信できる場を望む声が聞かれました。また、査読者依頼の問題については教室員会の多田委員長から「教室員の先生方を中心にご協力は得られるのではないか」とのご了解をいただきました。以上、ニーズの再確認ならびに査読者問題への解決の見込みが得られたことを踏まえ、教室員会(多田委員長、柿坂教育問題対策部長)から八重樫先生に対して再度の申し入れを行いました。八重樫先生は教室員会側に対して「意義ある取り組みであり、同誌に症例報告部門を開設する」ことを表明されました。また、小児科医であり若手医師への症例報告執筆指導の経験を豊富な大田千晴先生(医学系研究科環境遺伝医学総合研究センター発達環境医学分野教授)にも体制構築へのご協力をいただけることになりました。教室員会として八重樫先生はじめ東北医学会の先生方の医学教育に対する深いご理解に感謝申し上げます。

その後、柿坂と大田先生を中心に協議を重ね、8月時点で投稿システム稼働の見通しが立っております。八重樫先生および東北医学会の方々との最終調整を経てこの教室員会だよりが発刊される9月中には投稿受付を開始できる見通しです。投稿可能な筆頭著者は、東北医学会に所属する専門医取得前の卒後数年の医師、東北大学医学部学生です。責任著者は領域の専門医を取得した上級医で東北医学会会員に限ります。対象の皆様の積極的な投稿をお待ちしております。

 

「症例報告の書き方」支援サイトを作りました

 若手医師や医学生への教育を念頭に置いた症例報告執筆支援サイトを立ち上げました。これは教室問題対策部員である柿坂が自身の執筆経験と、10年以上の教育経験ならびに関連文献をもとに作成した講義動画4本からなります(20228月末現在)。動画#1「症例報告の書き方」では症例報告の意義や役割解説にはじまり、その症例の「新規点」と「臨床的意義」を明らかにしてから、執筆を4つの段階に区切ってそれぞれにおいて「目標」と「具体的行動」に切り分ける執筆法を実例とともに解説しております。動画#23 では論文の考察などで論理構築に活用できる考え方を「病態仮説の立て方、固め方」などとして紹介しております。動画#4では学術的文章作成(アカデミックライティング)の実践的ポイントを紹介しております。教室員会HPまたはQRコードからお入りください(ご覧いただくには東北大メールアドレスが必要です)。また症例報告を書いてみたいけれど、具体的にどのようにすればよいかわからないという方がいらっしゃれば、可能な限り支援させていただきますので柿坂(yosuke.kakisaka.a5@tohoku.ac.jp)までご連絡いただけますと幸いです。

 

英語論文を執筆した研修医・専攻医の先生に対する助成制度が辛酉会様のご協力で開始されます(人数限定あり)

 教室員会より一般財団法人辛酉会様に対して、研修医や専攻医などの若手医師が英語論文を執筆する際に生じる費用助成への支援を要請させていただきました。結果として、辛酉会様のご理解とご支援により本助成制度を創設することができました。

 令和4年度教室員会の発足後、教室員会(多田委員長、荒田書記長、柿坂教育問題対策部長)は一般財団法人辛酉会様(大友理事)に対して、研修医や専攻医などの若手医師が英語論文を執筆する際に生じる費用助成への支援を要請させていただきました。最近、特定のホスト科に所属しない卒研センター所属の研修医が、学術論文を出版する際に生じる費用の補助を得られなかった事例が判明しました。現状では研修医の英語論文出版を想定した学術関連費用を補助する制度がなく、この度、教室員会が本申し入れを行ったという経緯がありました。

多田委員長から辛酉会様側(大友理事)に、研修医や専攻医のサポート体制強化が急務である点を説明の上、財源援助のお願いをさせていただきました。大友理事は「教室員会側の申し入れは、医学部および病院の活動支援を通した社会貢献をする辛酉会の趣旨に合致する」と賛意を示されました。結果として、1名あたり3万円(計10名を予定)としてご援助をいただけることとなりました。教室員会側の申し入れに快諾をくださいました辛酉会様にこの場をお借りして感謝申し上げます。


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